市川団十郎家は、歌舞伎界の重鎮的存在で、
荒事芸を創始した家系でもある。
また、暮れに亡くなった中村勘三郎と言えば、
楽しませる歌舞伎を存分に表現
牛奶敏感ニューヨーク公演で芝居小屋風に内装し、ショーとしての歌舞伎の楽しさを伝えたり、
舞台では、美女がたちまち変化する「早替わり」などを駆使し、
観客は、華のある芸に陶酔したものだった。
市川団十郎の逝去など、新聞を見つつ残念に思うこのごろでもある。
最近、新聞を見ていると、
やたらと「秋波(しゅうは)」ないし「秋波を送る」という言葉が出てくる。
以前は、そんなにも使われなかっ
母乳餵哺た言葉だが、数年前から新聞紙上で見かけるようになった。
どうも、日経新聞が火付け役という話もある。
最近は、ブームでもあるかのように新聞に限らず、
頻繁にこの言葉が使われるようになった。
もともと「秋波」は、中国の故事から来ている言葉。
美女の瞳が、静かな美しさをたたえている状態を「秋水」と言い、
その水が動く状態になることを波が
母乳餵哺した役者と言えるだろう。
立つと表現する。
そこから、美女のそれとなく気を惹(ひ)くような「流し目」を秋波と呼び、
奥ゆかしさを秘めた「色目」の意味となる。
ところが、最近の新聞紙面を見ると、
「世界の大手保険会社がミャンマーに秋波」、「民主に秋波」、「JA票に秋波」
などの見出しが躍っている。
美女の奥ゆかしい流し目のハズが、一点、「早替わり」で助六になり、
大見栄を切っている姿に見えてくるような錯覚に襲われる。